rent maximization [経済学]

もし、明日1000万円が何かの理由によって手に入ったとしたら、どのようにしてそれを使うのが望ましいでしょうか?

すぐに消費してしまう事も出来るし、今後の為に投資しておく事も出来るし、自分の子供や孫の事を考えた投資をする事も出来るでしょう。

そこで疑問になる事は、じゃぁ一体どの選択肢が正しいのよ?と言う事だと思います。
今日はそんなお話です。


最近日本では、石油だったり天然ガスだったりレアアースといった資源がちらほら見つかり始めています。
見つかる理由は非常に単純で、見つかりやすい地上で殆ど見つけてしまったので見つかりにくい海底や地底なんかに調査が及ぶ様になったからです。
良く値段の上昇が理由と言いますが、値段の上昇も探索と採掘の難しさから来るコスト増が原因なので、一緒の事です。

さて、じゃぁもし仮に日本でこれらの資源を採掘出来たとして、それらから利益を上げれるとしたら、僕らは一体どんな行動をするべきなんでしょうか?
僕らはこれらの資源を得たらもう働かなくて済むのでしょうか?

中東の国なんかを見ているとそんな事を考えそうな感じがしますが、現実はそうも行きません。
資源には限りがあり、いつか資源から得られる収益は無くなってしまいます。つまり、もし僕らが資源から得たすべてを消費に使ってしまえば、その消費はいつの日か資源の枯渇とともに潰えることになり、後の世代はその恩恵を受ける事は一切ないでしょう。(まるでバブルを謳歌した世代の昔話を聞く様な気分になるでしょうねw)

つまり、消費という選択肢は1世代限りでの意思決定では正解と言えますが、多世代を考えた際には最低の解答と言えるでしょう。

と、いうことで僕らが取らなくては行けない選択肢は投資になる訳です。
じゃぁどんだけ投資すれば良いのよ?全部?というと全部投資する必要もありません。
おおざっぱな言い方をすると、多世代間に渡って皆が幸せになれる分だけ投資すれば良いのです。

ちょっとこの辺で考えてみましょう。
一体何が残っていれば後の世代は文句を言わないでしょう?資源でしょうか?
もし彼らが僕らの持っている量と同じ量の資源を要求した場合、僕らは一切採掘を出来ない事になってしまいます。
なので何か代替物を探さないと行けません。

まぁ答えは普通に出てきますよね、僕らが今現在持っている資源と同価値のお金が資源が枯渇した時に残っていれば良いのです。
それをどう使おうと彼らの自由です。(ただ、彼らもまた次の世代からの要求があるので・・・)

と言う事で、採掘して発生した収益を投資して、資源が枯渇した時の口座残高が初期資源と同価値になるという条件をモデルで表せば、最適な投資量を計算出来る様になります。

それがこれです。

resource41.png

1つ目のケースは資源の採掘量が一定である場合です。
初期に置ける資源価値Wは、今から枯渇するまでの時期Tまでの収益と等しくなります。未来に置ける収益は例のごとく割引率rで割り引いて現在価値に置き換えます。
よって、資源から得られる収入を採掘開始時の価値で計ることができ、それがWとなります。

資源から得た収益は消費にもある程度使うことができます。
初期の価値Wに投資収益率rを掛けた値だけ消費を行えば、次の時期にも元本Wが残っていてその収益分rWを元本を減らす事なく消費に回すことができます。
全ての世代を幸せにしたいので、この消費を一定量に設定すると仮定します。(つまり、どの世代も同じ量だけ消費するとする)

すると、資本の貯蓄は資源収入Rから消費c=rWを差し引いた値になります。
そしてそれらを枯渇するまでの期間で積分して、ごちゃっとした式を解くと、
なんと言う事でしょう、Wだけがのこっているではありませんか。
つまり、採掘開始時から枯渇時まで収益から消費rWを差し引いた分だけ投資を続ければ、”枯渇時の価値で”Wが残る事が解った訳です。

つまり、このような投資量(裏返せば消費量)で投資を決定すればどんな世代もハッピーな結果を迎えることができる訳です。



2つ目のケースは資源収入が収縮して行くケースです。
例えば石油の場合等だと、産出量が内部圧力に比例して、内部圧力は残存量に比例するので、採掘を続けるごとに産出量が低下して行きます。
このモデルではそのようなケースを取り扱うことができます。

このケースでの違いはただ単にある時点tに置ける収入Rが採掘開始時の収入R0の関数となっているだけです。
その条件を上の式に当てはめればやっぱり投資の合計がWになる結果を得ることができます。



ということで、こういった計算をちゃんとして、資源からの利益を「持続可能な形」で享受しましょうというお話でした。
よく有機野菜とか食べながら持続可能な何タラとか言っている人いますけど、こういうのを持続可能と言うんですよと言い聞かせたいです。
持続可能と言う言葉はとても耳に良いので皆使いがちですが、どのような条件が揃った時に持続可能になるのか?等々は全く解ってないなと良く思います。
そして、持続可能と言う時に、それ自体で持続が可能な要素を出しがちですが(例えば太陽光発電とか水力発電とか)、実際には資源収入なんかも持続可能な形に変換することができる訳ですよ。(今回みたいに)

なんかもうちょっと色々考えて「持続可能」と言う人が増えると良いなとやってて思いました。
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