気になる事。フェアトレードのおはなし。 [経済学]

最近の僕の興味はもっぱら需給バランスの崩壊と周期性にある訳なんですが、最近その流れでフェアトレードも面白いなと思う訳です。

発展途上国の農産物が安く買いたたかれていて、利益が全く出ないのでそれを少し高めの値段で買い取ってあげましょうという活動で、日本ではあんまり広まらなかったのだけれどもヨーロッパでは結構な規模で行われてます。

で、僕はやっぱりこの活動が見事に的を得ていない慈善活動なんじゃないのかなと思う訳です。

あ、いや、別に第3世界の農民が低賃金で働かされて不幸になろうが知った事じゃないって事ではないですよ。なんかフェアトレードという手段ばかりが有名になってそれ自体が目的と化してしまってるのではないかなと。
で、生産者が幸せになる為には他の方法の方が良いのではないかな?と思う訳です。(残念ながらその他の方法に付いてはあまり言及出来ない訳ですが。)

で、そもそも何でそんな安値で農作物が買いたたかれてるのか?というと、供給過多だからなんですよ。皆が安いコストである程度の質の物を作れる様になったから競争が激化して値段が下がったと。で、農作者にとってそれは違う市場へ移動するべきというシグナリングになってる訳です。

けれども、そこでフェアトレードが一定の価格を提示して買い取ると、農作者は他の市場へと移るインセンティブを失ってしまう。もしフェアトレードが状況の悪い場所から救おうとすればこの傾向はより強くなる。なぜなら状況の悪い農作者程他の市場へ移るインセンティブが大きいからだ。

さて、見方を変えるとこれは以下の様にも言える。
フェアトレードのおかげで、状況の悪い農家は一定の収入を得ることができた。
これは間違いない。ミクロ的には素晴らしい事だと思う。

しかし、少しマクロな視点へ移ればこれは以下の様に言える。
状況の悪い農家が市場から出て行かなかった結果、供給量が以前と変わらず、値段は上昇しなかった。
もし、ある程度の農家が市場から出て行って違う農作物を生産すれば、供給量は減って価格は上昇する。その結果市場全体での利益は上昇する事になる。
さらに、市場から退出した農家が他の生産物でより高い利益を上げることができれば、次に状況の悪い農家は他の市場へと移るインセンティブが上昇し、市場を退出する決断をするかもしれない。


もしフェアトレードの規模が小さく、価格への影響を持たない程の規模の場合、この議論は成立しない。しかし、その程度の規模ならば国際貿易の歪みを是正すると言う目的に対して無力だと言える。
そして、規模を大きくした時、上の問題が起こりえる。

じゃぁ代案はあるのかよ?という話になるのだが。
う〜ん。
ぱっと思いつくのは一つ。
農作物の問題は、生産者が他の市場へ移る意思決定を行えない(若しくはその意思決定に時間が掛かる)から発生する。
理由は簡単。新しい市場の不確実性は今の市場よりも高いからだ。
もし、僕らがそこで不確実性を幾らか少なくして、少なくとも今の生産物より魅力的である事を実証することができれば、この問題は”幾らか”解決出来る。そしてそれはコーヒー市場の生産過剰を減少して値段を上昇させる事が出来る。


本当はモデルを使って説明したかったのだけれども、ちょっと時間がなかったので省略。
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